INFINITI VC-T(可変圧縮比)

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概要

2016年8月14日に日産(INFINITI)より可変圧縮比のエンジンのメカニズムが発表されました。
動作がわかりずらいので動作を解析してみました。
本ページはHTML5でSVGを使用しています。
動作閲覧には、対応したブラウザを使用してください。
JavaScriptが動作するようにしてください。
エンジン名はKR20DDTです。ページ内では以前のエンジン名MR20DDTで記述しています。
INFINITI VC-Turbo: The world’s first production-ready variable compression ratio engine
以下に仕様を比較してみます。
MR20DD MR20DDT
種類 直列4気筒
ボア*ストローク 84×90.1 84×94.1
排気量 1997 1997~1970
圧縮比 12.5 8~14
最大出力 150ps/6000rpm 272ps
最大トルク 20.4kgf・m/4400rpm 39.8kgf・m
燃料供給 筒内直接燃料噴射 筒内直接燃料噴射+ポート噴射
過給機 TURBO+InterCooler 電子式ウェストゲート
可変動弁機構 吸気 油圧式 吸気 電動式 排気 油圧式
MR20DDTの仕様に明記しているストロークは、低圧縮時~高圧縮時すべてを含めたストロークです。この値をそのまま使用して排気量を計算すると2000ccを超過します。

メカニズム

コンロッドがマルチリンクで分割されているのが特徴となります。
ロアリンクが上下に動くことにより実質コンロッド長が変わります。
High Low s Piston Upper-link Multi-link Lower-link Control Shaft Actuator arm Crank Shaft Harmonic Drive SVGの代替画像 Co Ho A2 A1 C P M1 M2 O L1 SVGの代替画像
角度θ=
コントロールシャフトη=
注釈

自動回転ボタンをクリックするとエンジンが回転し、STOPボタンをクリックすると停止します。
低ボタンをクリックすると低圧縮状態に変化します。高ボタンをクリックすると高圧縮状態に変化します。
以下のグラフはクランクシャフトの回転角とピストンピンの位置の関係をグラフにしたものです。
Low(低圧縮)時はピストンピンの位置が低くなることがわかると思います。
比較のためにMR20DD相当のエンジンを想定して(ストローク 90.1 コンロッド長115.4701(スケールアップにより算出) ただしクランク軸をオフセットしていない。)描画したものである。
さらに正弦波を描画してみた。
位相はずれているがMR20DDTの方が正弦波に近くピストンの動きのみとらえれば2次以上の振動成分が低減できそうである。
低圧縮と高圧縮で比べると若干ストロークが変化しているがほぼ一定とみなせる。
クランク角とピストンピンの位置 High(MR20DDT 2.0-liter VC-Turbo) Low(MR20DDT 2.0-liter VC-Turbo) MR20DD 正弦波 SVGの代替画像
圧縮比 上死点 下死点 ストローク
MR20DDT 高
MR20DDT 低
MR20DD

動作の解析

ネットの情報を基に公開されている図をスケールアップして動作を解析してみました。
上図のエンジンモデルは以下の式を元にJavaScriptでプログラムしている。
Co Ho A2 A1 C P M1 M2 θ O L1 ζ ρ η α SVGの代替画像

アクチュエータ アーム

半径Co-A1をCr2とする
Cr2=50.04
A1x=Cr2 \sin (\eta +90)
A1y=Cr2 \cos (\eta +90)
Hox=188.76
Hoy=94.76
半径Ho-A2をHrとする
Hr=31.49
\overline{A1Ho}=\sqrt{ (Hox-A1x)^2+(A1y-Hoy)^2}
AL=\overline{A1 A2}=152.81
余弦の定理より
\displaystyle \zeta=\cos^{-1} \frac{\overline{A1Ho}^2+AL^2-Hr^2}{2\overline{A1Ho} \times AL}
\displaystyle \rho=\tan^{-1} \frac{A1y-Hoy}{Hox-A1x}
A2x=A1x+AL \cos (\rho + \zeta)
A2y=A1y+AL \sin (\rho + \zeta)

クランクシャフト

Ox=0
Oy=0

クランクピン

r=23.18381
Cx=r \sin \theta
Cy=r \cos \theta

ロアリンク・コントロールカムピン

Cox=4.94
Coy=118.89
半径Co-L1をLrとする
Lr=14.92
\displaystyle L1x=Cox+Lr \cos (\eta-\frac{\pi}{2})
\displaystyle L1y=Coy+Lr \sin (\eta-\frac{\pi}{2})
LL=\overline{M1 L1}= 107.15

マルチリンク

マルチリンク長
ML2=\overline{M1 C}=52.62
クランクピン(C)・コントロールカムピン(L1)間距離
\overline{CL1}=\sqrt{(L1x-Cx)^2+(L1y-Cy)^2}
余弦の定理より
\displaystyle \alpha=cos^{-1} \frac{ML2^2+\overline{CL1}^2-LL^2}{2 ML2 \cdot \overline{CL1}}
ML1=\overline{M2 C}= 47.46
\displaystyle \beta = tan^{-1} \frac{L1x-Cx}{L1y-Cy}
βは鉛直方向からの角度です。
M1x=Cx+ML2 \sin ( \beta+ \alpha)
M1y=Cy+ML2 \cos ( \beta+ \alpha)
M2x=Cx+ML1 \sin ( \beta+ \alpha+\pi)
M2y=Cy+ML1 \cos ( \beta+ \alpha+\pi)

ピストンピン

CL=\overline{P M2}=134.41
M2y-Py=\sqrt{CL^2-(M2x-Px)^2}
Px=-25.4
Py=M2y-\sqrt{CL^2-(M2x-Px)^2}