駆動方式

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中空軸平行カルダン駆動方式

主電動機の電機子が中空になっており、その中にねじり棒が貫通しております。国鉄 MT-54の場合、中空軸内径が約7cm、ねじり棒外径が約4cmです。
主電動機の両側にたわみ板があり、主電動機と歯車間のずれを吸収する構造です。
主電動機は台車に固定されています。
歯車箱は一方は大歯車により位置決めされ、片方は、吊り装置により台車から吊られています。吊り装置はある程度の衝撃を吸収できるようにゴムブッシュ等を介しています。
たわみ板により車輪からの衝撃が吸収されて主電動機につたわるため、高速・高出力が可能となります。
衝撃が少なくなることからフラッシュオーバーに対する対策にもなります。
たわみ板の軸方向の長さは短いため、特に整流子により電機子の長さが制約を受ける、直流電動機の電機子長を稼ぎ高出力を得るためには有効な方法でした。
例えば狭軌(1067㎜)の場合、歯車箱の幅を引くと主電動機の長さは最大60cmほどであり、国鉄 MT-54の場合、出力に寄与する電機子の長さは16.5cmです。
整流子(軸方向長さ約10cm)及びコイルエンドによりかなりの制約を受け、継手長が短いことは非常に有利となります。
一方、鉄道用においては、誘導電動機が主流となりの主電動機の直流電動機の製造がされなくなっている現在では、中空軸により電機子側の軸受径が中実式より太くなり、DN値が大きくなり軸受けには不利となることから高回転に向かない点があります。

模式図

中空軸平行カルダン方式を使用した直流電動機と駆動装置の模式図を以下に示します。
左から、歯車・たわみ板継手・整流子・電機子鉄心・たわみ板継手
電機子を貫通している緑の長い軸がねじり棒です。

側面図

側面方向を図示しています。
主電動機は台車枠に固定されており車輪の上下動の衝撃はたわみ板で吸収されているため、主電動機に伝わっていないのがわかるかと思います。
歯車箱は、台車枠からゴムブッシュを介して吊られています。
台車枠 主電動機 ブッシュ

正面図

駆動系をモデル化しています。
台車枠 電機子・整流子 ばね ねじり棒 吊り装置ブッシュ
以下の写真はDT32台車(国鉄165系)です。上図とは左右が逆です。

たわみ板継手模式動画

下図は、たわみ板継手を3Dで表現したものです。
濃い青色の板がたわみ板です。
灰色と緑の軸はたわみ板を経由してつながっているため、軸のずれを許容できます。
動画は、軸が回転している状態でたわみ板と軸の関係が分かりやすいように途中で視点を動かしています。

中空軸詳細

たわみ板のたわみ状況をアニメーションにしました。
中空軸の中のねじれ棒の状況およびたわみ板のたわみ状況を図示しています。
かなり誇張していますがそれでもわかりずらいかと思います。
電機子・整流子 ねじり棒 電機側継手 歯車側継手